成果を上げる！リスティング広告を内製化するための具体的な戦略とポイント

December 27, 2023January 12, 2024

1. はじめに：リスティング広告の内製化が注目される理由

現在、企業間でリスティング広告の内製化が増えてきています。その理由は、主に以下の2点に集約されます。

【コスト削減】：広告代理店を通さずに直接広告を出稿することで、運用手数料を削減することが可能です。
【適応速度の向上】：マーケットの変動に素早く対応するため、自社で運用することで情報の伝達速度を上げることができます。

これらを図表で示すと以下の通りです。

【表1】

内製化のメリット	詳細
コスト削減	広告代理店を通さず直接広告を出稿することで、運用手数料を削減可能
適応速度の向上	マーケットの変動に素早く対応。自社で運用することで情報の伝達速度を上げることができる

しかし、内製化するためには専門的な知識や人材育成が必要となります。そのため、内製化を進める際は十分な準備が求められます。

2. 内製化によるリスティング広告運用のメリットとデメリット

(1) メリット：コミュニケーションの円滑化とスピードアップ

リスティング広告の内製化は、運用チームと他の部署間のコミュニケーションを大幅に円滑化し、プロジェクトの推進スピードを向上させるという大きなメリットがあります。

外部業者と通じて広告運用を行っている場合、意思決定に時間がかかることが多くあります。例えば、広告の調整や修正を依頼した際には、外部業者への連絡、調整、そして完了までに時間がかかります。

しかし、広告運用を内製化すると、その全てが社内で完結します。運用チームがすぐに修正を行い、同時に他の部署とも直接コミュニケーションを取ることができます。その結果、プロジェクト全体のスピードがアップするのです。

以下に、内製化によるスピードアップの具体例を表にまとめました。

	外部委託	内製化
広告修正の依頼	✔︎ 外部との連絡・調整が必要	✔︎ 即時対応可能
新しいアイデアの導入	✔︎ 外部との打ち合わせ・調整が必要	✔︎ 即時の提案・導入可能
他部署との連携	✔︎ 外部との連絡・調整が必要	✔︎ 即時の連携が可能

内製化は、このように、広告運用のスピードと効率を大幅に向上させることができ、業績へのポジティブな影響をもたらします。

(2) メリット：商品・サービスに深い理解を持った運用が可能

リスティング広告を内製化する一つの大きなメリットとして、「商品・サービスに深い理解を持った運用」が可能となる点が挙げられます。

社内で運用することで、商品やサービスの特徴、顧客のニーズ、業界の動向といった情報を、第三者経由ではなく直接的、また、タイムリーに反映させることが可能になります。これにより、よりピンポイントで効果的な広告戦略を立てることができます。

以下に、内製化による広告運用のフローを表にまとめました。

ステップ	内容
1	商品・サービスの特徴、顧客のニーズを把握
2	それらの情報を元にキーワード選定
3	広告文の作成
4	運用・分析・改善

このように、内製化により迅速かつ的確に広告運用を行うことで、より高い効果を期待することができます。

(3) メリット：運用知識・ノウハウの蓄積

リスティング広告の内製化により、最大のメリットとして運用知識・ノウハウの蓄積があります。これは、リスティング広告の運用を外部に依存することなく、自社で運用することにより得られる利点です。

たとえば、運用を行う上での具体的なポイントや成功事例、失敗事例などを社内で共有することが可能になります。これにより、社内全体のスキルレベルが向上し、また一人ひとりが責任感を持って取り組むことができます。

さらに、リスティング広告の運用ノウハウを蓄積することで、次回以降の広告作成時にその知識を活かすことができます。下記表に、具体的な蓄積ノウハウの例を示します。

項目	内容
キーワード選定	適切なキーワードはCTR向上に直結
広告文作成	ユーザーがクリックしたくなる広告文の醸成
評価指標理解	CTRやCVなどの指標への理解深化

これらの蓄積が、自社の広告運用の品質向上につながり、結果的にはリスティング広告の成果向上に繋がるでしょう。

(4) メリット：運用手数料の削減

リスティング広告の内製化の大きなメリットとして、運用手数料の削減が挙げられます。一般的に、広告代理店を介してリスティング広告を運用する場合、その手間分として運用手数料が発生します。しかし、内製化により自社で広告運用を行うことで、この手数料を大幅に抑えることが可能です。

具体的な金額を示すと、以下のような削減効果が見込めます。

広告運用費用	代理店経由	内製化
運用費用	500万円	500万円
手数料	50万円（10%）	―――
合計	550万円	500万円

このように、内製化により運用費用500万円の場合であれば、50万円の削減が可能となるわけです。これが、リスティング広告の内製化による運用手数料削減のメリットとなります。

(5) デメリット：人材確保の難しさ

リスティング広告の運用を内製化する際の大きな障害として、適切な人材を確保することが挙げられます。具体的には以下の2つの点が難しさとなります。

リスティング広告運用のスキルを持つ人材が少ない
競争が激しく、人材確保に高い費用がかかる

リスティング広告運用のスキルを持つ人材は市場に少なく、その求人に対する競争も激しいため、優秀な運用者を採用することは一筋縄ではいきません。また、人材確保には高い費用がかかります。これらを解決するためには、育成型の人事戦略や独自の教育体制の構築など、企業全体で取り組む必要があります。

(6) デメリット：運用ノウハウの蓄積に限界がある

リスティング広告の内製化には、運用ノウハウの蓄積に限界があるというデメリットが存在します。社内で運用を行っていく中で、自社の商品やサービスの特性に合った広告戦略を練ることは可能です。しかし、汎用的な広告運用のノウハウや新しい動向、テクニックについては、広告会社など専門的な知識を持つ外部の専門家から学ぶことが難しくなります。

常に変化するデジタルマーケティングの世界では、新しい知識を習得し、適応していく必要があります。そのため、内製化したからといって安心してしまうと、市場の新たな動きを見過ごしてしまう可能性があります。

これは特に、リスティング広告の運用者が少数であったり、他の業務に追われて広告運用に専念できない場合に顕著になります。適切な情報収集と研修を継続することで、このデメリットを補うことが可能です。

(7) デメリット：媒体社との関係の希薄化と情報収集の遅れ

リスティング広告運用を内製化した場合、媒体社との関係が希薄化する可能性があります。代理店を通じて広告運用をしていた場合、媒体社から直接最新の情報やアップデートの通知を受け取ることができます。しかし、内製化した結果、この情報ルートが断たれてしまうと、新しい広告機能やアルゴリズムの変更などの情報を遅れて知ることになります。

また、他社の事例や成功事例を知る機会も減る可能性があります。これらは実際の広告運用において有用な知見を得るための重要な情報源です。

以下に媒体社との関係希薄化の影響を表にまとめました。

媒体社との関係希薄化の影響	具体例
最新情報の取得遅れ	新しい広告機能、アルゴリズムの変更
他社の事例・成功事例の知識不足	他社の広告戦略、キーワード選定、広告文の工夫

このようなリスクを抑えるためには、媒体社とのコミュニケーションを持ち続けることや、自ら積極的に情報を収集することが求められます。

3. 内製化時に挑戦しがちな問題点とその解決策

(1) 人材育成とスキルアップの時間と労力

リスティング広告の内製化は、その運用を行う専門的な人材の育成とスキルアップにかかる時間と労力が必要なポイントです。初期段階では、専門知識を持った人材の確保や、既存スタッフの教育に時間がかかります。

具体的には、

広告運用の基礎知識を学ぶ
プラットフォームの操作方法を習得する
結果分析や最適化手法を理解する

といったスキルアップが求められます。これらを習得するためには、社内セミナーや外部の研修を活用し、定期的な学習と実践の場を設けることが重要です。また、育成した人材が退職等で離れた場合のバックアップ体制も整備しておくべきです。

(2) 運用者の属人化と転職時の対策

リスティング広告の内製化では、運用者の属人化、つまり、一部の人材だけが重要な業務を担ってしまう状況を防ぐことが重要です。というのも、その人材が転職等で退職した場合、そのノウハウが会社から流出してしまうリスクがあるからです。

この問題を解決する一つの方法は、運用マニュアルの作成と共有です。運用者が行っている業務を詳細に記述し、その内容を定期的にアップデートすることで、新たに運用を始める人材もスムーズに業務を引き継げます。

また、定期的な内部研修や勉強会の実施もおすすめです。これにより、全員が最新の知識を共有し、スキルアップすることが可能になります。職種間での交流を図ることも有効で、新たな視点やアイデアが生まれる機会を創出できます。

(3) 一人前の運用者に成長するまでの時間

リスティング広告の運用者として一人前になるまでには、一定の時間と経験が必要です。新たに内製化を始める場合、運用者は新規に採用するか、既存の社員が挑戦するかの選択があります。

例えば、新規採用の場合でも、完全にゼロからスタートすると、以下のような時間が必要となる場合があります。

ステップ	所要時間
広告運用の基本理解	1ヶ月
リスティング広告のシステム操作	2週間
キーワード選定・広告文作成	2ヶ月
データ分析・最適化施策	3ヶ月

これらはあくまで目安で、運用知識やスキル、経験により異なります。したがって、内製化を進める際は時間とコストのバランスを考慮し、適切な人材育成計画を立てることが重要です。

(4) 最新の情報やノウハウの自社内でのアップデート

リスティング広告の内製化において、最新の情報やノウハウの自社内でのアップデートは不可欠です。リスティング広告は日々変化する市場に対応するため、最新の情報を得ることが求められます。

具体的には、以下の２つのアプローチを推奨します。

【1】業界の専門メディアや公式情報のチェック： Google AdsやYahoo!広告など、リスティング広告の主要なプラットフォームは頻繁に新機能を追加します。それらの情報は直接公式ブログや専門的なデジタルマーケティングのメディアで発信されます。これらの情報源を定期的にチェックし、自社の広告戦略に取り入れることが重要です。

【2】セミナーや研修会への参加：媒体社や業界団体が開催するセミナーや研修会に参加することで、より専門的な知識を得ることができます。また、他社の成功事例や失敗事例を聞くことで、自社の戦略に活かすことも可能です。

以上の取り組みにより、自社のリスティング広告運用を最新の状況に適応させ、最大のパフォーマンスを発揮させることが可能となります。

4. 成果を上げるための具体的な戦略

(1) 適切なキーワード選定手順

リスティング広告の成果を上げるためには、適切なキーワードの選定が不可欠です。以下に手順を詳述します。

まず、自社の商品やサービスを具体的に表すキーワードをリストアップします。ここでは、顧客が検索する可能性の高い言葉を想定しましょう。
次に、各キーワードの検索ボリュームや競合状況を調査します。これは、 Googleのキーワードプランナーなどのツールを活用すると効率的です。
検索ボリュームが高く、競合が少ないキーワードを優先的に選びます。しかし、あまりに専門的すぎて検索されないキーワードは避けるようにします。
最後に、選定したキーワードのパフォーマンスを定期的にチェックし、必要に応じて見直しを行います。

この選定手順を通じて、より効果的なリスティング広告運用が可能となります。

(2) 効果的な広告文の作り方

広告文作成は、成功のカギを握る重要な部分です。最初に、ターゲットとする読者のニーズに対応したキャッチフレーズを考えてみてください。このフレーズは、読者が広告をクリックする動機付けとなります。

次に、広告文の主要部分は以下の三つの要素から構成されることを覚えておきましょう。

ベネフィット（商品・サービスが提供するメリット）
フィーチャー（商品・サービスの特長・機能）
キャッチフレーズ

表1. 広告文の構成要素

要素	説明	例
ベネフィット	商品・サービスが顧客にもたらす具体的なメリット	「あなたの業務効率を30%アップ」
フィーチャー	商品・サービスの特長・機能	「AI搭載の業務自動化ツール」
キャッチフレーズ	顧客の感情に訴え、行動を促すフレーズ	「今すぐ試して、新しい働き方を体験しよう！」

この三つを組み合わせて、リスティング広告の広告文を作成します。ただし、文字数制限に注意しながら最適なバランスで編集することが求められます。

(3) 広告運用の基本となる指標の計算方法

広告運用における指標計算は、内製化における重要なスキルの一つです。運用成果を客観的に評価するためには、以下の主要な指標を理解し、正確に計算することが求められます。

１つ目は「クリック数」です。広告がクリックされた回数を示し、広告がどれだけユーザーの関心を引いたかを測る指標となります。

２つ目は「クリック率（CTR）」です。表示回数に対するクリック数の比率で、広告の魅力や目立ち度を評価する指標となります。

３つ目は「コンバージョン数」です。広告クリック後にユーザーが目標とする行動（購入や問い合わせ等）をとった回数を示します。

最後に、「コンバージョン率」です。クリック数に対するコンバージョン数の比率で、広告の成果を評価する重要な指標となります。

これらの指標を定期的に計算し、分析することで広告運用の改善点を見つけることができます。

(4) 自動化と手動作業のバランス

リスティング広告の内製化では、広告運用の自動化と手動作業のバランスが重要です。一部の作業は自動化ツールを活用することで、手間を削減し、運用者の負担を軽減できます。一方、全てを自動化に任せてしまうと、広告のパフォーマンスに微妙な変化が起こった際に対応が遅れる可能性があります。

例えば、キーワードの追加や広告文の改善は自動化ツールでは難しいため、手動で行う必要があります。一方、入札価格の調整やデータ分析は自動化ツールを活用すると、より効率的に作業を進めることができます。以下に具体的な分担を示します。

【自動化作業】：入札価格の調整、データ分析、レポート作成

【手動作業】：キーワードの追加・削除、広告文の改善

適切なバランスを見極めることで、広告運用の効率化と品質維持を両立させることが可能です。

5. 内製化を成功させるための実践ポイント

(1) 運用者を一人で任せず、チームで対応する

リスティング広告の内製化を成功に導くためには、運用者を一人だけで任せるのではなくチームで対応することが重要です。

内製化の目的は、より高度な運用・管理能力を持つ専門チームを構築することです。しかし一人の運用者に全てを任せてしまうと、その人が休んだ日や転職した場合に運用が滞ってしまいます。また、一人で運用すると視野が狭くなりがちで、新たな視点やアイデアが生まれにくい点もデメリットとなります。

そこでオススメなのが、複数のメンバーで運用を行うチーム制です。チーム制を採用することで、それぞれが得意とする分野を活かして運用でき、また一人が抜けても他のメンバーがフォローすることで運用が滞ることを防げます。さらに、違う視点を持つメンバー同士で意見を交わすことで新たなアイデアが生まれ、より良い運用が可能となります。

これらの理由から、リスティング広告の内製化にはチーム制を推奨します。

(2) 広告メニューを十分に理解し、それに基づいた運用を行う

リスティング広告の内製化は、広告メニューの完全な理解が必須となります。まず、各広告メディアのメニューを理解し、それぞれの特性や機能を把握することが大切です。例えば、Google Adsではテキスト広告、ショッピング広告、ディスプレイ広告といった様々な広告形式がありますので、それぞれの特徴や効果的な活用法を理解することが求められます。

また、広告メニューの選択は、運用目標やターゲティングの観点からも重要です。具体的には、商品の特性やターゲットとなるユーザーの属性によって、最適な広告メニューを選択しましょう。これは、適切な広告メニューを設定することで、より効果的なリスティング広告の運用が可能になるためです。

これらのことから、広告メニューの十分な理解とそれに基づいた運用が、リスティング広告の内製化において必要不可欠であると言えます。

(3) 定期的なセミナーや学習コンテンツの活用

リスティング広告の内製化では、最新の情報をキャッチアップし続けることが重要です。そのためには、定期的にセミナーや学習コンテンツを活用することが有益となります。例えば、各媒体社が主催するセミナーや、オンラインで提供されるeラーニングコンテンツを活用しましょう。

また、以下の表のように、学習内容に応じて担当者を決め、逐次情報共有する体制を作ることも重要です。

学習内容	担当者	活用方法
媒体社セミナー	Aさん	新機能の情報収集
eラーニング	Bさん	広告作成のスキルアップ

これらの方法を活用することで、運用者一人ひとりのスキルアップはもちろん、チーム全体の知識も更新し続けることが可能になります。

6.まとめ：リスティング広告の内製化による成果向上への道筋

リスティング広告の内製化は、適切な戦略と組織体制のもとで行えば、効果的な結果を生む可能性があります。まず、適切なキーワード選定と広告文の作成、そして運用の基本となる指標の理解などが重要です。しかし、それだけではなく、人材育成や最新情報の調査など、運用者自身のスキルアップも欠かせません。

また、以下の表に示すように、内製化を成功させるための実践ポイントも重要です。

実践ポイント	内容
チームでの対応	運用者を一人で任せず、チーム全体でサポートする
広告メニューの理解	リスティング広告の各メニューを十分に理解し、それに基づいた運用を行う
学習の定期化	定期的なセミナーや学習コンテンツを活用して、最新知識・情報を常にキャッチアップする

これらを踏まえてリスティング広告の内製化に挑戦し、効果的な広告運用と成果向上を目指しましょう。