【成功のポイント】マーケティングを内製化するためのステップバイステップガイド
1.はじめに
何となくマーケティングを行ってはいるけれど、果たしてその施策が本当に有効なのか、あるいはそれを担当する人材がいなくて困っている、という企業は少なくないでしょう。また外注に頼っているが、費用と成果のバランスが取れていないと感じている企業も多いかもしれません。このような課題を解決するひとつの方法がマーケティングの内製化です。内製化によって、ユーザーニーズの対応、ノウハウの蓄積、施策スピードの向上が期待できますが、同時に人材育成と確保、業務工数の増加という課題もあります。この記事では、そのマーケティングの内製化を成功させるためのポイントを、具体的なステップバイステップの形でご紹介します。
2.マーケティング内製化のメリットと課題
(1)メリット: ユーザーニーズ対応、ノウハウ蓄積、施策スピードの向上
マーケティングを内製化することで得られるメリットは大きく三つあります。
まず、ユーザーニーズへの対応力が増します。具体的には、自社で集めたデータをもとにユーザーの動向を把握し、迅速かつ柔軟に商品やサービスの改善、新たな提案が可能になります。
次に、マーケティングのノウハウが蓄積されます。外部に依存せずに、自社だけのオリジナルな戦略を立て、経験と知識を持つことができます。
また、マーケティング施策のスピードも向上します。外部業者との調整時間が不要となり、意思決定のスピードが速くなるため、市場変動に素早く対応することができます。
これらのメリットは、競争力を維持し、さらには高めるために重要な要素です。
(2)課題: 人材育成と確保、業務工数の増加
マーケティングを内製化するためには、特別な知識やスキルを持った人材の育成と確保が必要です。しかし、これは時間とコストがかかる大きな課題となります。特に、新たに採用する人材は、企業のビジョンや戦略を理解し、それに基づいたマーケティング活動を行う能力が求められます。
また、マーケティング業務の内製化は、業務工数の増加をもたらします。社内で行うことで、業務範囲が広がり通常業務の中に組み込む必要があります。これにより、他の業務に影響を及ぼす可能性もあります。
これらの課題を克服するためには、以下のような対策が考えられます。
- 人材育成:研修や教育制度の導入
- 人材確保:求人広告の工夫、リクルーティング活動
- 業務工数管理:業務分担、効率化のためのツール導入
これらを適切に行うことで、マーケティングの内製化に成功する可能性が高まります。
3.マーケティング内製化の成功のポイント
(1)対象となるユーザー像(ペルソナ)の設定
マーケティングを内製化する際、最初に重要となるのが、対象となるユーザー像、いわゆる「ペルソナ」の設定です。ペルソナは、商品やサービスのエンドユーザーを具体的なキャラクターに落とし込んだもので、その人物がどのような情報を求め、どのような行動を取るのかを想定することで、より効果的なマーケティング戦略を立案することが可能になります。
具体的に設定する項目は以下の通りです。
項目 | 例 |
---|---|
名前 | 一般社員・田中 |
年齢 | 30歳 |
性別 | 男性 |
職業 | システムエンジニア |
趣味 | 映画鑑賞 |
悩み | 仕事の効率化 |
このように、ペルソナを具体的に設定することで、マーケティング戦略をより明確に、また実行可能な形にまとめることができます。
(2)競合リサーチ
マーケティングを内製化するにあたり、競合リサーチは不可欠なステップです。競合他社がどのようなマーケティング活動を行っているかを把握し、その中で何が成功しているのか、何が改善が必要かを理解することは、自社の戦略作りに直結します。
具体的には、以下の項目を調査します。
- 競合他社の商品・サービス
- その広告・プロモーション活動
- 使用しているマーケティングチャネル
- ターゲットとしている顧客層
これにより、自社の強みや課題を明確にし、効果的なマーケティング戦略を策定するための参考になります。また、これらの情報を定期的にアップデートすることで、業界動向に対する迅速な対応が可能になります。
(3)自社の強みや課題の抽出
マーケティングを内製化するための重要なステップとして、自社の強みや課題を抽出します。まず、自社の強みや特徴、そしてこれまでのマーケティング活動で得られた成果を振り返りましょう。それが顧客にとって何を意味するのか、どのように価値を提供しているのかを理解することが大切です。
次に、自社の課題や弱みを特定します。これには、過去のマーケティング活動の失敗や、競合と比較した場合の自社の不足点などが含まれます。ここで展開する課題抽出は、成功への道筋を明確に描くための重要なステップであり、内製化へ移行する上で何を改善すべきかの指標を設けます。
以下の表は、自社の強みや課題を抽出する際の参考になる項目です。
項目 | 自社の強み | 自社の課題 |
---|---|---|
マーケティング活動 | 成果のあった施策 | 改善が必要な施策 |
顧客対応 | 高評価なサービス | 低評価なサービス |
競合との比較 | 優位な点 | 不足な点 |
この行程を通じて、内製化によるマーケティングの方向性を明確にし、業務の効率化を図ることが可能となります。
(4)リソースに合わせた優先順位の設定
マーケティング内製化は、有限なリソースを効率的に利用するためにも優先順位を明確に設定することが重要です。まず、リソース(予算、人材、時間)の全体像を把握しましょう。次にそれぞれのマーケティング活動が要求するリソースを評価します。
次のような観点で評価します:
マーケティング活動 | 予算 | 人材 | 時間 |
---|---|---|---|
SNS運用 | △ | ○ | ◎ |
SEO対策 | ◎ | △ | ○ |
広告運用 | ○ | △ | △ |
例えば、SNS運用は予算はそこまで必要ないものの、継続的に投稿を行うための人材と時間が必要となります。一方、SEO対策は初期の設定に時間がかかるものの、その後は定期的なメンテナンスが主な作業となります。
これらの情報を元に、自社のリソースに最も合致するマーケティング活動を優先的に行うように計画を立てます。
4.マーケティング施策の内製化とアウトソーシング
(1)内製化推奨の業務: マーケティング戦略、CRM、独自コンテンツ作成
内製化を推奨するマーケティング業務には、以下の3つが挙げられます。
- マーケティング戦略: 自社のビジネス戦略やユーザーニーズを直接反映できるため、この部分は内部で行うことが望ましいです。社内で戦略を立てることで、より深い理解と柔軟な対応が可能となります。
- CRM(顧客関係管理): 顧客とのコミュニケーションやデータ管理は、企業の重要な財産です。これらを社内で管理することで、顧客情報のセキュリティを高め、より具体的な施策を策定できます。
- 独自コンテンツ作成: 自社のブランドやプロダクトを理解している社内のメンバーが作成する方が、ブランドイメージの一貫性を保つことができます。また、独自性を出すためにも内製化がおすすめです。
これらの業務を内製化することで、企業独自の価値を高め、効果的なマーケティングを行うことが可能です。
(2)アウトソーシング推奨の業務: 集客、広告運用、サイト制作やリニューアル
アウトソーシングを推奨する主な業務は、「集客」「広告運用」「サイト制作やリニューアル」です。これらの業務は専門知識や技術が求められることが多く、継続的な学習と経験が必要となります。
例えば、「集客」には、SEO対策やSEMなどのデジタルマーケティング知識が必要です。専門的な知識を持ったプロフェッショナルに依頼することで、効率的に集客を行うことが可能となります。
次に「広告運用」は、広告プラットフォームの動向を理解し、適切な広告配信を行うための専門的な技術が求められます。また、広告効果の分析と改善も重要です。
最後に、「サイト制作やリニューアル」は、デザインやプログラミングの知識が必要です。こちらも専門的な技術を持つ専門家に依頼することで、ユーザビリティやデザイン性の高いウェブサイトを作成することができます。
以上の業務は、専門的な知識と経験が必要であるため、内製化よりもアウトソーシングを推奨します。
5.マーケティング内製化に向けた具体的なステップバイステップ
(1)STEP1: ペルソナ設定
マーケティングを内製化する第一歩として、まずは「ペルソナ設定」が必要です。ペルソナとは、商品やサービスを利用するターゲット顧客の具体的なイメージのことを指します。
例えば、商品Aを購入する可能性が高い顧客像を「30代女性、子育て中、健康志向、オーガニック製品やエコ商品に興味がある」と設定します。このように、顧客の年齢、性別、ライフスタイル、好みなどを詳細に設定することで、より効果的なマーケティング戦略を立てることが可能となります。
下記の表は、ペルソナ設定の一例です。
項目 | 内容 |
---|---|
年齢 | 30代 |
性別 | 女性 |
ライフスタイル | 子育て中 |
好み・関心 | 健康志向、オーガニック製品、エコ商品 |
このような具体的なペルソナ設定を行うことで、マーケティング活動がより明確かつ効果的に進められます。
(2)STEP2: 競合リサーチ
競合リサーチとは、業界内の競合他社がどのようなマーケティング戦略を採用しているのかを調査するステップです。競合他社の製品やサービスを深く理解することで、自社のポジショニングや差別化ポイントを見つけ出すことが可能となります。
まずは、以下のような視点で競合他社の情報を集めてみましょう。
- 製品・サービスの特徴
- 価格設定
- ユーザー層
- ブランドイメージ
- マーケティング活動(広告、SNSなど)
そして、これらの情報を自社と比較し、自社の強み・弱み、機会・脅威(SWOT分析)を明確にします。これにより、自社の戦略立案に役立てることができます。
(3)STEP3: 自社の強みや課題の抽出
自社の強みと課題を明確に把握することは、マーケティングの内製化における重要なステップです。まずは、自社の製品やサービスが持つ独自の価値(強み)をリストアップしましょう。これには、高い品質や優れた機能性、競合他社と比べての価格競争力などが考えられます。
次に、自社が直面している課題を挙げてみましょう。例えば、顧客からのクレーム対応や製品開発の遅延、コスト問題などがあります。
このステップでは、以下のような表を作成し、自社の強みと課題を整理すると良いでしょう。
自社の強み | 自社の課題 |
---|---|
例:高品質 | 例:コスト問題 |
例:優れた機能 | 例:製品開発の遅延 |
これらの情報を元に、自社のマーケティング戦略を見直し、どの部分を内製化するのが効果的かを判断します。強みを最大限活かし、課題を克服するための施策を立てていくことが大切です。
(4)STEP4: リソースに基づく優先順位設定
リソースに基づく優先順位の設定は、効率的なマーケティングを実施するために重要なステップです。まず、自社の利用可能なリソースを把握します。これには、予算、人材、時間等が含まれます。
次に、これらのリソースとマーケティングの目的を照らし合わせて優先順位を決めます。以下に一例を示します。
- リソース
- 予算:〇〇万円
- 人材:マーケティング担当者2名
- 時間:毎週20時間
- 優先順位設定
- 高:自社の強みを活かした独自コンテンツ作成
- 中:競合リサーチによる市場分析
- 低:広告出稿
このように、限られたリソースを最大限に活用する戦略を立てることで、効果的なマーケティング内製化を進めていきます。
(5)STEP5: マーケティング施策の実施
STEP5では、具体的なマーケティング施策の実施に移ります。まず、内製化すべき業務とアウトソーシングすべき業務を分け、それぞれの業務ごとに人材や予算のリソースを考慮し、最適な施策を実行します。
【内製化する業務の例】
- マーケティング戦略立案
- CRM運用
- 独自コンテンツ作成
【アウトソーシングする業務の例】
- 集客活動
- 広告運用
- サイト制作やリニューアル
各業務については、常に成果を測定・分析し、改善点があったら見直しを行っていきます。このステップが循環することで、マーケティングの内製化は成功へと繋がるでしょう。
6.まとめ
本記事では、マーケティングの内製化について、そのメリット、課題、成功への道筋を詳細に解説しました。マーケティング内製化の成功のポイントはペルソナ設定、競合リサーチ、自社の強みや課題の抽出、そしてリソースに基づく優先順位設定です。また、全てを内製化する必要はなく、CRMや独自コンテンツの作成は内製化し、一方で集客や広告運用はアウトソーシングすると効果的です。マーケティング内製化は、スピード感を持ってユーザーニーズに応えるための重要なステップとなります。このガイドが、あなたのマーケティング戦略に役立つことを願っています。