【効果的なRPA内製化戦略】企業が自社でRPAを導入・運用するためのコツと注意点

目次

1.はじめに

1-1. RPA内製化の重要性の説明

ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)の内製化は、企業の業務効率化を実現し競争力向上に寄与する重要な戦略です。RPA内製化を進めることで、自社の業務フローに最適化したシステムを自在に構築できるだけでなく、外部に依存することなく迅速に問題解決が可能となります。また、RPAを内製化することで、導入・運用コストの削減にもつながります。

しかし一方で、RPA内製化はそれなりの技術力や人材育成の体制が必要です。そのため、RPA内製化を進める際は、自社の現状と目標を明確にし、適切な導入計画を立てることが求められます。この記事では、そのための具体的な方法について詳しく解説します。

2.RPA内製化のメリットとデメリット

2-1. メリット

– (1)機能を柔軟にカスタマイズできる

RPAを内製化する一番のメリットとして、機能を柔軟にカスタマイズできる点が挙げられます。具体的には、自社の業務フローや要件に合わせて、RPAツールを自在に調整できるという利点があります。

例えば、以下の表のような要件がある場合、外部のベンダーに依頼すると時間もコストもかかりますが、内製化すれば自社で対応可能です。

要件外部ベンダー内製化
新しい業務フローの追加〇(時間とコスト発生)〇(迅速に対応可能)
細かい修正〇(時間とコスト発生)〇(経験豊富な内部エンジニアが対応)
トラブル時の即時対応△(ベンダーの対応待ち)〇(すぐに問題解決)

上記のように、RPAの内製化は、自社のニーズに応じた機能追加や修正が迅速に行え、運用効率を大きく高めることが可能です。ただし、これには十分なスキルや経験が必要となるため、適切な人材育成が欠かせません。

– (2)外注コストを削減できる

RPAシステムの導入と運用を外部企業に依存することを避けることで、システムの維持・更新にかかる外注コストを大幅に削減することが可能です。具体的な数字を以下の表にまとめました。

コストの種類外注時内製化時
導入費用◯(高額)◯(一時的に高額)
維持費用◯(毎月の固定費)△(人件費等)
更新費用◯(新機能追加等で発生)△(人件費等)

内製化の場合、初期投資として人材教育や環境整備にコストがかかりますが、中長期的に見ると外注時と比較してコストを大幅に抑えることが可能です。また、社内でスキルを持つ人材を増やすことで、よりフレキシブルにシステム改善が進められます。

– (3)トラブル時の即時対応が可能

RPA内製化の大きなメリットとして、トラブル時の即時対応が可能という点が挙げられます。具体的には、システムトラブルが起きた際、外部の専門業者に依頼するのではなく、自社内で速やかに対応することができます。これにより、事業への影響を最小限に抑えつつ、効率的な業務運営を実現できます。

たとえば、以下のような状況を想定してみましょう。

シチュエーション外部委託時内製化時
システムトラブル発生トラブル解決までの時間が不確定自社内で即時対応可能
トラブル対応コスト外部業者への費用発生自己解決によりコスト抑制

このように、RPA内製化は即時性とコスト面でのメリットを提供します。ただし、これには適切な知識とスキルが必要であり、人材育成の観点からも重要な課題となります。

2-2. デメリット

– (1)知識・スキルの習得に時間がかかる

RPAの内製化には様々な知識とスキルの習得が不可欠です。具体的には、RPAツールの操作方法やプログラミング言語(例:C#、JavaScript)、システム開発のスキル、またはサーバーやネットワークに関する知識などが必要となります。

これらの知識やスキルを社内に持つ人材がいない場合、研修や教育プログラムを通じて習得する必要があります。しかしこれらの学習プロセスには時間がかかるため、導入初期の業務改善効果が遅れる可能性があります。

必要な知識・スキル習得に必要な時間
RPAツール操作短期〜中期
プログラミング言語(C#、JavaScriptなど)中期〜長期
システム開発スキル中期〜長期
サーバーやネットワークに関する知識長期

以上のように、RPA内製化には一定の時間と人材への投資が必要となることを把握しておくことが重要です。

– (2)社内エンジニアの業務負荷が高まる

RPAを内製化することは、社内のエンジニアが全ての開発と運用を行うことになります。そのため、彼らの業務負荷は必然的に増大します。RPAの導入・開発・運用・メンテナンス、さらにはトラブル対応など、すべてを社内エンジニアが行うことは、既存の業務に加えて新たな作業が増える形となります。

具体的な業務内容としては以下の表をご覧ください。

業務内容詳細
RPAの導入新たなツールを社内システムに導入する
開発自社の業務に合わせた自動化スクリプトを作る
運用作成したスクリプトを実行し、結果を管理・分析する
メンテナンスシステム更新や故障時の対応
トラブル対応予期せぬエラーが発生した際の対処

これらを考慮すると、RPA内製化には十分なリソースや時間が必要であると言えます。

– (3)人材育成の仕組みが必要

RPA内製化に成功するためには、社内に必要な知識とスキルを持つ人材を育成する仕組みが不可欠です。一部の専門家に依存するのではなく、全員が一定レベルの理解を持つことが求められます。

まず始めに、社員のスキルレベルと興味を把握します。次に、それぞれのニーズに合わせた教育プログラムを設計します。例えば、初級者向けにはRPAの基本的な概念と操作方法、中・上級者向けには高度なプログラミングやトラブルシューティングの方法を教えるなどです。

また、継続的な学習を促すためにも、定期的な勉強会や情報共有の場を設けることが有効です。これにより、社員同士で知識を深め合い、スキルアップを図ることができます。

RPA内製化は一時的なプロジェクトではなく、継続的な取り組みが必要です。だからこそ、組織全体で学び、成長し、成果を出す体制作りが求められます。

3.RPA内製化へのステップ

3-1. 内製化の目標設定

RPA内製化の第一歩は、明確な目標設定です。まずは現状の業務フローを洗い出し、どの業務にRPAを導入することで最も効果を発揮するかを見極めることが重要です。また、時間短縮やコスト削減だけでなく、ヒトの業務負担の軽減やミスの削減といった観点からも目標を設定しましょう。

次に、達成したい目標の具体的な数値を設定します。これにより、内製化が成功したかどうかを定量的に評価することが可能になります。以下が一例です。

目標具体的な数値
業務時間の削減年間X時間
コスト削減年間Y円
ミスの削減発生率Z%減

これらの目標設定がRPA内製化の成功につながります。

3-2. 内製化実現のための施策考案

内製化を実現するための施策として、まずは「試行錯誤を恐れずに挑戦する文化の育成」が必要です。RPAの内製化は新しい試みであり、初めから全てがスムーズに進むわけではありません。失敗を糧に次へ進む、学習する組織体制を作りましょう。

次に「RPAチームの設立」です。RPA導入の運用、改善、トラブルシューティングなどを担当する専門チームを設けることで、作業効率化と知識集約が可能となります。

最後に「社内研修の実施」です。RPAに関する知識を全社員が共有し、理解を深めるための研修を定期的に行うことで、RPA内製化の推進を図ります。

以下の表に施策をまとめました。

施策目的
挑戦する文化の育成失敗から学び、改善を進める
RPAチームの設立作業効率化と知識集約
社内研修の実施RPA知識の全社共有

3-3. 内製化に必要な人材の確保と教育

RPA内製化には、適切な知識とスキルを持った人材が不可欠です。まず、企業内にRPAの開発や運用が可能な人材が存在するか確認しましょう。そして、不足している場合は、新たに人材を採用するか、既存の社員を教育してスキルアップさせます。

教育の方針としては、以下のような内容をカバーすることが有効です。

  1. RPAの基礎知識
  2. プログラミング言語(C#やJavaScriptなど)
  3. システム開発スキル
  4. サーバーやネットワークに関する知識

一方、新たに採用する場合は、諸経費や研修期間などを考慮することが重要です。また、人材流出の防止策も検討しましょう。十分な待遇やキャリアパスを提示することで、RPAスキルを持った人材の長期的な確保が可能となります。

4.RPA内製化に必要な知識とスキル

4-1.プログラミング言語の知識(C#やJavaScriptなど)

RPA内製化には、プログラミング言語の知識が必須となります。RPAツールには様々な種類が存在しますが、多くのものがC#やJavaScriptなどを使用しています。これらの言語を理解することで、ツールの制御やカスタマイズが可能となり、より高度な自動化を実現します。

例えば、以下のようなスキルが求められます。

  • C#: フローチャート形式での操作に限界を感じた場合、C#言語を駆使してより細かい制御を可能にします。
  • JavaScript: 一部のRPAツールでは、Web操作の自動化にJavaScriptを利用します。Webページのスクレイピングやフォームへの入力などが容易になります。

しかし、これらの言語を学ぶためには時間とリソースが必要です。そのため、導入前には十分な学習期間を確保することが大切です。

4-2.システム開発スキル

RPA内製化において必要不可欠なのがシステム開発スキルです。特に、「要件定義」、「設計」、「実装」、「テスト」、「運用・保守」といったシステム開発ライフサイクル全体を理解していることが重要です。

まず「要件定義」では、RPAを活用して効率化したい業務の具体的な内容や条件を明確にします。次に「設計」では、要件定義を元にした最適なRPAの仕組みを考え出します。

「実装」では、設計したRPAをプログラムとして具現化します。ここでプログラミング言語の知識が活用されます。そして「テスト」では、実装したRPAが正しく動作するかを検証します。

最後に、「運用・保守」では、RPAの運用を円滑に行い、必要に応じて修正や改善を行います。これらの一連の流れを理解し、適切にスキルを活用できる人材が求められます。

4-3.サーバーやネットワークに関する知識

RPAの内製化を成功させるためには、サーバーやネットワークに関する基本的な知識も欠かせません。特に、RPAの導入や運用におけるトラブルシューティングには、企業のITインフラストラクチャへの理解が必要となるためです。

例えば、ネットワークに関しては、LANやWANの基本概念をはじめ、TCP/IPやDNSといったプロトコル、さらにはセキュリティ対策など、広範で深い知識が求められます。サーバーについても、物理サーバーからクラウドサーバーまでの理解、OSやデータベースの管理方法、バックアップの取り方など、様々な知識が必要となります。

しかし、全ての知識を一から身につける必要はありません。企業内の既存のITインフラを理解し、RPAとどう連携させるか考えることが大切です。また、必要なスキルや知識は専門家に教えてもらうなど、適切な方法で取得していきましょう。

5.効果的なRPA内製化戦略の構築

5-1. RPAで改善したい業務の優先順位を決定する

RPA内製化戦略を効果的に進めるためには、まずどの業務を自動化しようとしているのか、その優先順位を明確に設定することが必要です。以下にその方針を示します。

まず、以下の観点で業務を評価します。

観点評価基準
繰り返し度頻繁に行われる業務ほど適しています
ルール性明確なルールがある業務は自動化しやすい
時間負荷人間が多くの時間を費やす業務は自動化の効果が高い

これらの観点を元に、業務ごとの優先度を定めます。即効性が高く、自動化効果が大きい業務からRPA導入を進め、段階的に内製化を図ることが望ましいです。

5-2. 自社に合ったRPA製品を選定する

RPA内製化を進める上で重要なのが、自社の業務に合ったRPA製品の選定です。まずは、自社の業務プロセスを把握し、どのような作業を自動化したいのか明確にしましょう。次に、その要件に最も適したRPAツールを選定する必要があります。

RPAツール選定のポイントは、

  1. 機能性:求める機能がしっかりと備わっているか?
  2. 使いやすさ:自社のスタッフが使いこなせるか?
  3. コストパフォーマンス:導入費用と運用費用のバランスは適切か?
  4. サポート体制:トラブル時の対応やアップデートの頻度は適切か?

といった観点から比較検討すると良いでしょう。また、様々なRPAツールの中から最適な製品を選定するためには、無料トライアル版を活用したり、RPAベンダーと直接交渉を行ったりするのも有効です。

5-3. トラブル対処法を検討する

RPA内製化では、トラブルに即時対応する能力が要求されます。そこで、事前に様々なトラブルシナリオを想定し、それぞれに対する対処法を検討することが重要です。

例えば、以下のような対策を考えておきましょう。

トラブル事例対処法
RPAプロセスのエラーエラーログを確認し、原因を特定
システム障害による停止バックアップシステムの立ち上げ
データ破損データ復元の手順を確立

また、スタッフ全員が対策を理解し、自身の役割を明確にするための研修も行いましょう。これにより、トラブル発生時にも迅速に対応でき、RPAの運用をスムーズに進めることが可能となります。

6.まとめ

6-1. RPA内製化の重要ポイントを再確認

RPA内製化を成功させるためにはいくつかの重要なポイントが存在します。まずは、明確な目標設定を行うことが重要です。何を自動化し、どの程度の効果を求めているのか明確にすることで、適切な戦略を立てることができます。

また、適切な人材を確保し、教育することも欠かせません。RPAの運用にはプログラミング知識やシステム開発スキルが必要となるため、社内でこれらのスキルを持つ人材を育成するか、あるいは外部から人材を確保する必要があります。

そして最後に、自社に合ったRPA製品の選定と、トラブル対処法の検討です。製品選定は内製化の成功を左右する重要な一手であり、トラブル対処法の検討は運用時の安定性を保つために必要です。

これらのポイントを踏まえ、戦略的にRPA内製化に取り組むことで、一層の業務効率化を実現することができます。

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この記事を書いた人

WEBマーケティングをベースに内製化のご支援、システム導入による業務効率化を事業にて実施中。IT領域の知識と現場の知見をを掛け合わせるリスキリングの可能性を広げるため、メディアを運用中

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